等分布荷重を受ける片持ちはりとは?計算方法とモーメント図の描き方も解説

等分布荷重を受ける片持ちはりにおける支点反力の計算・せん断力図・曲げモーメント図の作成は、材料力学の基本項目です。

本記事では、力の分布から支点反力を求める計算方法を具体例を交えて詳しく説明していきます。構造設計に携わる方や工学を学ぶ学生にとって、基礎を確認し応用力を高めるきっかけとなるでしょう。

また、別の記事では、はりの一部分に等分布荷重が作用している場合の片持ちはりについてまとめた記事もありますので、今回の内容と一緒に読み進めていくと理解しやすいかと思います。


これから材料力学を学ぶ方や復習したい方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

目次

片持ちはりとは?

片持ちはり(Cantilever Beam)とは、片側が固定され、もう一方が自由端となる構造形式のはりを指します

このはりは、固定端で全ての荷重やモーメントを支える仕組みとなっています。

図で表すと、このような状態です。

材料力学において片持ちはりの問題(とその他のはり問題)は、集中荷重の場合と今回取り扱う等分布荷重の2種類のケースがあります。

それぞれ断力図(S.F.D.)と曲げモーメント図(B.M.D.)の求め方が異なります。

下記の式を覚えておきましょう。

よくある使用例

片持ちはりはその性質上から、バルコニー、橋梁、看板の支持部分など、さまざまなところで片持ちはりは利用されています。

等分布荷重を受ける片持ちはり

それでは実際に等分布荷重を受ける片持ちはりの支点反力・せん断力・曲げモーメントの計算をやっていきたいと思います。

ここでは、はりの全長1000mmにわたって1N/mmの等分布荷重を受けている場合について考えていきたいと思います。

支点反力の計算

支点反力は、はりに作用する全荷重を固定端で支えるための反力です。

片持ちはりの場合、一方が完全に固定されもう一方が自由端(支点A)となっており、自由端は荷重を直接支えるための支点ではないことに注意してください。

言い換えると荷重を支える役割を果たせない支点、ということになります。

そのため、自由端は支点反力やモーメントを発生させる要素が存在しないので、今回の場合支点反力はRBだけ、ということになります。

等分布荷重$w$、長さ$l$による全荷重を支点Bで受けるので、点Bの支点反力は、

$$R_{B}=wl=1×1000=1000N$$

となります。ここで、$w$は単位長さ当たりの荷重、$l$ははりの長さです。

せん断力の計算

自由端からある距離xの断面におけるせん断力は、以下の一般式で表すことができます。

$$F=-wx ・・・(1)$$

この式(1)を用いて支点A・支点Bをそれぞれ計算していきます。

①点Aのせん断力

$$F_{A}=-wx=-1×0=0N$$

②点Bのせん断力

$$F_{B}=-wx=-1×1000=-1000N$$

せん断力の符号の向きについて

せん断力の符号の向きについては、以下のように定義して計算しています。

①時計回りに回転しようとする力の方向(左側:鉛直上向きの荷重、右側:鉛直下向きの荷重)を正(+)。

②反時計回りに回転しようとする力の方向(左側:鉛直下向きの荷重、右側:鉛直上向きの荷重)を負(-)。 

曲げモーメントの計算

次に、曲げモーメントの考え方です。

仮想断面左側の荷重$wx$は、点Pから$\frac{x}{2}$の点に作用する集中荷重に等しいとして、$0≦x≦l$の範囲でモーメントが変化すると考えます。

ここで、曲げモーメントの一般式は、

$$M=-\frac{wx^2}{2} ・・・(2)$$

となり、この式(2)を使って点Aの曲げモーメントと点Bの曲げモーメントを考えていきます。

①点Aの曲げモーメント

$$M_{A}=-\frac{wx^2}{2}=-\frac{1×0^2}{2}=0Nmm$$

②点Bの曲げモーメント

$$M_{B}=-\frac{wx^2}{2}=-\frac{1×1000^2}{2}=-5.00×10^5Nmm$$

S.F.D.図とB.M.D図の作成

以上の計算結果をグラフとしてまとめると、以下のようになります。

左側を固定端としたときのS.F.D.図とB.M.D図

反対に、左側を固定端としたとき、S.F.D.図の符号とB.M.D図の向きが逆になります。

まとめと実践へのヒント

ここまで、等分布荷重を受ける片持ちはりについての支点反力、せん断力、曲げモーメントの計算手順を具体例を交えて解説してきました。支点反力やモーメント図は、はりの問題を解くにあたって非常に重要な内容です。

今回紹介した計算式や方法を参考に、荷重の数値やスパン長などを変えてみて、実際に手を動かして計算を行ってみてください。

特に、異なる荷重条件やはりの長さを自分で設定して計算を試すことで、力学の基礎的な理解がさらに深まるはずです。

もし疑問点やより詳しく知りたいことがあれば、コメント欄で質問をお寄せください!

今後もこのような力学の基礎をわかりやすく解説していく予定ですので、ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね。

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